痔核・脱肛について
痔核とは直腸の下側と肛門にある静脈の塊(肛門静脈叢)のうっ血によって生ずる静脈のこぶ(静脈瘤)のような病変のことです。その場所、形態により以下のように分類されます。
いろいろな説がありますが、排便するときの力みによって肛門静脈叢のうっ血が起こり、それを繰り返すことにより血管自体が変化して静脈が広がり、静脈瘤が形成されるという説が一般的です。
内痔核は、肛門を時計に見立て、前方を12時、背中側を6時として見ますと、右前方(11時)、右後側(7時)、左側方(3時)の3ヵ所に肛門の内側を走る三本の動脈があります。それに沿って発生することが多く見られます。
専門医であれば容易ですが、痔核を持っている人は出血に対し寛容なため大腸の癌などからの出血も痔からの出血と考えやすく手遅れになる場合もあります。そのため併せて大腸の検査を行う必要があります。
痔核は良性疾患です。基本的に手術の必要はありません。座薬軟膏などの局所用剤、経口薬の投与とともに日常生活の改善が必要となります。
以上のような注意を守ればほとんどの場合改善いたしますが、以下のような場合は手術適応となります。
痔核・脱肛について
肛門の内側、約2cm奥にある歯状線というぎざぎざの線より奥の直腸下部から発生したものを内痔核といいます。その表面は直腸粘膜に覆われ、大きさは小豆大のものから赤ちゃんの握りこぶしぐらい大きなものまでさまざまで、柔らかい腫瘍として肛門の内側に突出しています。
歯状線より下側の肛門の周囲にできたものを外痔核といいます。肛門の外側に暗赤色のふくらみとして見えます。
内痔核と外痔核が一緒になったものです。
内痔核が大きくなり、排便のときなどに肛門の外に出ることを脱肛といいます。痔核は男性に多く、女性の約2倍です。また、年齢とともに増加します。
発生原因
発生部位
症状
排便後少量の血液が紙に付着する程度のものから、シャーと走り出るものまでさまざまです。中には血液が逆流して直腸上部に溜まり、消化管出血と判別が難しい症例もあります。
痔核は初期には肛門の内部にとどまりますが、症状の進行とともに徐々に肛門外に脱出するようになります。程度は肛門の一部が脱出するものから、肛門全周が脱出するものまでさまざまです。
痔核は通常痛みを伴いませんが、肛門潰瘍を合併したり、炎症が強かったり、脱出したまま戻らなくなったり(嵌頓痔核)したときは出現します。疼痛の著しいときには性的不能になるときもあります。
脱出した痔核の表面を覆う粘膜から粘液が分泌され、肛門周囲が湿潤し、その刺激で皮膚炎を起こします。
肛門ポリープ、皮垂(皮膚のたるみ)を起こすこともあります。
分類
診断
治療
便秘・下痢を起こさないようにする。
毎日の入浴やシャワートイレの使用など。
アルコールや辛いもの(唐辛子・胡椒など)を避ける。
重いものを持ったり長時間同じ姿勢を続けない。